一瞬戸惑って、それでも目で肯定する。


「なるほど。そこら辺のことは、君が元気になったら詳しく聞くとして・・・」


足を止めて、水色の瞳を合わせてくる。


「テト様は・・・君と、約束を交わしたがったんじゃない?」


今度は頷けなかった。


「答えたくない、か・・・」


再び歩き出す。

ここからは答えなくていいよ、と前置きをしてハジは話し出した。


「君は図書室にテト様と行ったことがあるみたいだね。そのときに『交わされる約束』を借りたんだろう」


そのとおりだ。誰に聞いたのだろうー? オズかな?


「君には何か秘密があるね」


ドキッと心臓が嫌な音を立てた。

それを知ってか知らずか、ハジは淡々と話す。


「誰にだって秘密の一つや二つや三つは・・・いや、三つは多いな」


そんなハジの言葉に、吹き出しそうになる。


「そこは無理に暴くつもりはないよ。だけどね、もし本当にクレア王妃様が君を召喚したのだとしたら、そこに鍵があると僕は思うんだ」


いつの間にかユノの部屋の前に来ていた。


失礼するよ、と言って、ハジは部屋に入ると、ゆのを窓際のベッドにそっと降ろしてくれた。


「オズはこの国の第2王子だ。これから君は、オズと・・・」


言葉を濁しながらハジは続けた。


「一緒にいるのは難しいかもしれない」