え? 盛られたって?


なんだか口を動かすのも怠くて、目で問いかける。


「ユノ、君はテト様に会っていたのかい?」


目で頷くゆの。


「部屋で何か起こらなかった?」


思い当たるのは、あの小型の鏡ーーー


目線を右手に動かして、人差し指を見せる。


「っ!」


赤い血が雫となって固まっているはずだったそこは、黒ずんでいて、模様のようなものができていた。


ナニ、コレーーー?


「これは間接的な軽い呪いだね」


そう言うとハジはゆのを抱き上げた。


「ハジ殿! ユノ様をどちらへ!?」

「いろいろ訳があって、オズには任せられない。ユノの部屋に連れていく。レヴァノンを呼んできて」


オルフェは一瞬迷ったような顔をしたが、すぐに駆け出していった。


「全く・・・困ったものだね。君は異世界から来たから、この国の呪いに慣れてない」


コツコツと廊下に足音が響く。


「つらいだろうから、目で合図して。君はテト様の小さな鏡に触れたね?」


瞼を一度閉じて、肯定の合図をする。


「テト様は君を召喚した人物の話をしてきた?」


してきた、と合図をする。


「それはクレア王妃様?」