初めは好奇心だった。

王子である自分の、しかも何よりも大切な鏡の前で倒れていた少女。

暗い部屋の中でも、何故か惹きつけられて、自分で面倒を見た。




久しぶりに会ったとき、彼女の美しさに気付いた。

この国では見ることのできない、漆黒の髪、瞳ーーー

そして、陶器のような色白な肌。

目が離せなくなった。




ハジやテトがユノと関わることがあってからは、常にもやもやしていた。

何故かはわからなかった。

それと同時に、ユノの笑顔を見ると、安心できて嬉しくなって・・・




そしてこの間、泣き叫ぶユノを見て、守りたいと強く思った。

君を独りで泣かせたりしない。

だって、俺は、ユノをーーー




気付いてしまった。

正室はもちろん、本当の側室にすることも許されないのに。

いつかは、元の世界に帰ってしまうのに・・・。


「ユノ・・・」


君は俺のものにはならない。

どんなに求めても、叶うことはない。

それがこんなにも、辛いなんて・・・。



だから、胸のこの痛みが深まる前に。

早く君を帰してあげる。