「これまた残念ながら、
法的にも舞と俺は家族なので」


「は?」


この発言にはさすがの裕貴くんも驚いた。


「親同士の許嫁ですので、
君がどう頑張ろうと最初から無駄なことってわけですね」


「ま、まじで?」


信じられないといった表情で、
あたしを見てくるから肯定のために頷いた。


「うわ、俺ばかじゃん……」



しゃがみこんだ裕貴くん。


渉が一言。


「お陰様で大事なことに気付けましたよ」



そう言ってあたしの手を握り締めて
駅前から去る。