「席空いてねぇなー」 レストランは大賑わいで、 満席状態だった。 「あ、席げっとー!」 裕貴くんがゲットしたのは一席のみ。 「東雲、座りなって」 あたしの肩をぐいぐい押して 椅子に座らせた。 「あとなー、これ!」 裕貴くんが持ってきたのは膝掛け。 「寒いだろ?」 優しいなぁ。 そんな優しさいっぱいの裕貴くんに なんだか申し訳なくなる。 「裕貴くんっ、椅子半分こにしよ?」 「いいって」 「だめ! 裕貴くんだって寒いもんっ」 触った手が冷たくて、 ほらやっぱりって思った。