放課後、 部活の休憩中に教室まで忘れ物を取りに行った。 その途中、 保健室から聞こえたんだ。 甘い女の声が……。 それは好きな子の声で、 間違うはずない。 「渉」 「舞…」 空いてる隙間から少し漏れていた声だった。 かすかだったから、 気付かないのが普通だと思う。 それなのに、 俺には聞こえた。 お互いを愛しく呼び合う声が。