抹茶を飲んでいるお店に、
偶然のように訪れた渉。
メールで場所を教えたからなのだけど、
それでも会いたかったからすごく嬉しい。
「偶然ですね。
みなさんお土産いっぱい買いましたか?」
「先生は何買ったんすか?
彼女へのお土産?」
着かさず渉に攻撃する裕貴くんに
内心ヒヤヒヤだ。
「彼女?
それは内緒です」
「内緒にしなくちゃいけない人だからっすか?」
「どうでしょうねぇ?」
「本当に好きなんすか?
実は建て前上仕方なく付き合ってるとか、彼女は実は好きとかそんな感情なかったり……?」
“建て前上”
“彼女は実は好きとかそんな感情なかったり”
裕貴くんの言葉がグサッと胸を刺す。
親同士が仲良いから…建て前上。
あたしはまだ“好き”って言ってない。
渉は何て答えるんだろう。
頭の中がグルグルいう。

