「せっかくだし、手ぐらい繋ごうぜ」 強引に絡められた右手は、 嫌な汗で冷たくなる。 渉とは手を繋ぐだけで 全身まで火照るように熱くなるのに。 「もっと笑おうよ」 耳元で言われた言葉には、 悪寒が走るような感覚に陥った。 そして、 「昨日、あの人に向けてた笑顔みたいに、さ?」 完全に青ざめた表情と 冷淡な表情。 清水寺でのツーショットは 思い出にしたくないような出来上がりになった。