あたしはギュッと抱きしめられた。


海の水も入る空間がないくらい
強く、ギュッと。


「舞の水着姿、誰にも見せたくない。
だから人が少ない所まで連れてきたんだ。独占欲強くてごめんな」


抱き締められてるせいで、
渉の表情が読みとれない。


「あー、まじでやばいな。
理性崩壊しそうだわ」


「崩壊したらどうなるの?」


「舞が泣くようなことしちゃうかも」


「………」


「安心しろ、何もしねぇから」


あたしの応答が無かったからか
苦しみに耐えるかのような声で呟いた。


あたしだけがドキドキしてるんだと思ってた。


でも、こうやって抱きしめ合うことで
お互いに緊張してるのがわかった。


心臓の音を感じてるのが心地いい。