適いそうにないけど、
あの………


「もう足が着かないんですが」


さっきからあなたにしがみついてます。
気付いてますか?


「うん、知ってる」


「………」


「俺から離れたら溺れるね」


「………」


悪魔だ。

王子様みたいな悪魔がいる。


「悪魔…」


「ん?
何かな?何か言ったかな?」


キャラがちょっと違うくない?


なんて軽く思っていたら、
繋いでいた手をパッと離され身体も離れる。


「ひゃっ!」


意地悪く笑う渉。


その渉に更にしがみつくあたし。


満足そうな渉が悪魔と一緒に光臨していた。