ヒナタと呼ばれた青年は笑みを浮かべ


「だ、そうでーす。残念でした」


なんとも憎たらしく言いのけた

それが気に入らなかったのかギルの表情が歪んだが、ヒナタは気にせず「コトノ、コトノ」と主のもとへ犬のようにすり寄っていた


「……フェイド卿…」


「なんでしょうか、ギル様」


「あとで話がある」


「……承知いたしました」



ギルの目は怒りに滲み、そして殺気と変わって行った




一方、コトノと呼ばれる少女はチラリと馬車の方を見るがすぐに視線を前に向けた

横では楽しそうに笑うヒナタがいる



「コトノがあんなこと言うから余計に出くわしやすくなっちゃったんじゃないの?」


ヒナタは弾んだ声でそう言えば、彼女は小さくため息をつき



「私、事実をというか依頼内容を相手に確認させただけなんだけど…」


なにかおかしなこと言ったかな?と小さく首を傾げる


「言い方だよ。本当、対人関係はちゃんと築かないと…」


「築く必要もないわ」


「……さいですか」