『エエイ、恐レルナ!ソノ鳥ヲ捕ラエロ。魔界ヘ引ッ張リコメ!』
ミチカはカツを入れるよう叫んだ。すると魔界の住人達の何人かが森田から手を放し、上空を飛ぶ鳥に向かってズルズルと伸ばした。しかし鳥は捕まらない。全長三十センチほどしかないが、機敏に右へ左へと動いてヒラリと交わしてゆく。高さ二メートルほどのところでクルリと宙返りすれば、先ほど同様スパスパと住人の手を切り裂き、再び森田へ向かって飛んでいった。森田の口をつかみ体に絡んでいた手を切れば、さらに残りの住人の手をスパスパと切った。
切られた魔界の住人の手は、バラバラと魔界の中へ落ちていく。黒いゴム手袋が落ちていくような光景は、スゴク不思議で不気味だった。
『クソッ、イマイマシイ鳥メ!』
ミチカはイライラして叫んだ。だが、私の手は放さない。私は彼女の鬼気迫る様子に、再び自分の身の危険を覚えずにいられなかった。
『コノママ生カシテオクモノカ。一息ニ片ヅケテヤル!』
言うやいなや、ミチカは鳥へ向かって左手の人差し指を突き出した。すると彼女の指先から黒い光が矢のように飛び出し、鳥にあたった。あたった鳥は一瞬ビクッ!と震えたかと思うと動かなくなり、そのまま地面にボトリと落ちた。
落ちた鳥は、人の形をした紙になった。
(え、どうしたの?)
「式神だ!もしかして…」
森田は叫んだ。私には聞き慣れない言葉だ。私はミチカが鳥を紙にしたのだと思い、彼女の魔力のすごさに、さらなる恐怖を覚えた。
まもなくすると、自動ドアの方に人の気配を感じ、見た。すると、黒い烏帽子をかぶり、紫色の着物のような物を着た、三十代くらいの男性が現れた。平安時代から抜け出して来たかのような出で立ちだ。
うっすらと日に焼けた面長の顔はどこにでもいそうな感じだが、射るような視線と、醸し出す迫力は並でない。あきらかにドーナツを買いに来た客ではなかった。
「お、陰陽師だ。浄霊依頼をした陰陽師だ!」
ミチカはカツを入れるよう叫んだ。すると魔界の住人達の何人かが森田から手を放し、上空を飛ぶ鳥に向かってズルズルと伸ばした。しかし鳥は捕まらない。全長三十センチほどしかないが、機敏に右へ左へと動いてヒラリと交わしてゆく。高さ二メートルほどのところでクルリと宙返りすれば、先ほど同様スパスパと住人の手を切り裂き、再び森田へ向かって飛んでいった。森田の口をつかみ体に絡んでいた手を切れば、さらに残りの住人の手をスパスパと切った。
切られた魔界の住人の手は、バラバラと魔界の中へ落ちていく。黒いゴム手袋が落ちていくような光景は、スゴク不思議で不気味だった。
『クソッ、イマイマシイ鳥メ!』
ミチカはイライラして叫んだ。だが、私の手は放さない。私は彼女の鬼気迫る様子に、再び自分の身の危険を覚えずにいられなかった。
『コノママ生カシテオクモノカ。一息ニ片ヅケテヤル!』
言うやいなや、ミチカは鳥へ向かって左手の人差し指を突き出した。すると彼女の指先から黒い光が矢のように飛び出し、鳥にあたった。あたった鳥は一瞬ビクッ!と震えたかと思うと動かなくなり、そのまま地面にボトリと落ちた。
落ちた鳥は、人の形をした紙になった。
(え、どうしたの?)
「式神だ!もしかして…」
森田は叫んだ。私には聞き慣れない言葉だ。私はミチカが鳥を紙にしたのだと思い、彼女の魔力のすごさに、さらなる恐怖を覚えた。
まもなくすると、自動ドアの方に人の気配を感じ、見た。すると、黒い烏帽子をかぶり、紫色の着物のような物を着た、三十代くらいの男性が現れた。平安時代から抜け出して来たかのような出で立ちだ。
うっすらと日に焼けた面長の顔はどこにでもいそうな感じだが、射るような視線と、醸し出す迫力は並でない。あきらかにドーナツを買いに来た客ではなかった。
「お、陰陽師だ。浄霊依頼をした陰陽師だ!」

