恐怖へいざなうメールはいかが~from.ミチカ

『私ノ両親ハ共ニ忙シクテ、私ニカマッテイル余裕ハ ホトンド無カッタ。朝、昼、夜、三人ソロッテ ゴ飯ヲ食ベタノハ、イツダッタカサエ思イダセナイホド。ソンナ二人ニ助ケテト言ッテモ、キット相手ニ シテクレナイ』
「せっ、先生は?」
『言ッタ。ソウシタラ、イジメハ モットヒドクナッタ。彼女達ハ勉強ハ デキナカッタケド、人ヲ苦シメル才能ハ スゴクアル人間デ、他ノ人ニ ワカラナイヨウ、シツコク ヤラレタ。メールモ『死ネ、クサイ』ッテ言ウヨウナ内容ノヲ、一日ニ何十通モ送ッテキタ』
「でも、でもまだ何か方法があったでしょ?」
『…一人ジャ ドウニモ ナラナカッタ。八方フサガリダッタ!』
「だけど…」
『困リ果テタ私ハ、学校ヲ無断デ休ミ、話シ相手ニナリソウナ メル友ヲ探シタ』
「メル友!」
私はビックリした。ミチカを探していた時の自分とソックリだ。あの時の私は誰も相手にしてくれず、ヤケになって新しいメル友を探していたのだ。
『外交官ヘノ道ハ遠クナッタガ、ソレデモヨカッタ。精神的ニ楽ダッタカラ。イジメッ子達ハ家マデ来タガ、無視シタラ、一時間クライデ帰ッタ。嫌ガラセハ、メールダケニナッタ』
「・・・」
『メル友ハ、友達募集サイトデ見ツケタ。相手ハ私ト同イ年ノ女子高生。最初ハ好キナ アイドルガ一緒ダッテ事デ メール交換シタンダケド、交換シテイクウチニ、オ互イ イジメニ アッテイテ、登校拒否シテイル事ガ ワカッタ。彼女ハ親ガ必死ニナッテ助ケテクレタケド、全ク収マラナクテ学校ヘ行ケナクナッタ。彼女モ私ト同ジデ、心ガズタズタダッタ』
ミチカはクチをへの字に曲げた。昔を思い出し、悔しくなったのだろう。ただ、私の手は放そうとしなかった。しっかり握られているので、振り払えない。
『登校拒否ヲ シテ数日タッタラ、サスガニ両親モ何カアッタト気ヅイテ、聞イテキタ。ワケヲ説明シタラ、トリアエズ校長先生ニ、私ガ クラスメイトカラ イジメヲ受ケテイル事実ヲ話シテ、イジメッ子達ニ止メルヨウ厳重注意シテ欲シイト オ願イシテクレタ』
「じゃあ、何でこんな事になっちゃったの?校長先生にまで話してくれたのなら、悪霊になる必要、なかったんじゃないの?」