「かあさん…」
母は私を見た。彼女の目は優しかった。
「本当だよ。思春期で反抗ばかりして憎たらしいけど、いらないなんて思っていない。春乃は私の大切な娘だよ!」
私はすごく嬉しかった。自分を大切に思ってくれている事を知り、とても幸せだった。今の一言で、これまでされてきた仕打ちは、すべて忘れてもいいと思った。
(もっと早くわかっていたらよかった。そうしたら、こんなふうにならなかったのに…)
母の本当の思いをやっとわかったのに、私の命は風前の灯火。生きていれば母とお茶をしたり、ショッピングに行ったり、楽しい日々を送れるだろうに…そう思うと、悔しくてしょうがなかった。
すると母は、渾身の力を込めてミチカの手をはがそうとした。森田や父がミチカをいつまで止めていられるかわからないから、自ら動かずにいられないのだろう。
だが、はがれない。いくら見かけが細身の女子高生でも、中身は化け物。男二人を押し退けられる力があるのだ。
(助けて!神様。もうワガママは言いません。ちゃんと他人を思いやります!だから、今回だけ助けて下さい!)
私はミチカを呼び込んでしまった己の行いの悪さを、心から悔いた。今なら普通の高校生のように、そこそこのメールのやりとりでガマンし、勉強もして、まじめに生きると誓えた。
ふと森田を見ると、彼は手をふるわせながらワイシャツの中へ手をつっこんだ。お守りを取り出し首からはずせば、母に手渡した。
「春乃さんの手をつかんでいる、この少女の手に当ててみて下さい。もしかしたら、放してくれるかもしれません!」
「わ、わかったわ!」
母は言われたとおり、ミチカの手にくっつけた。すると、ジューッと音を立てて皮膚が溶け出した。
『ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァーッ!』
ミチカは断末魔のような叫び声をあげ、体をブルブル震わせた。相当痛いのだろう。しかし、私の手を放そうとしない。ガッチリとつかんでいる。すごい執念だ。
すると突然自動ドアが開き、警官が二人駆け込んできた。そのうち、若くて背の高い警官が、ミチカを見て指さした。
母は私を見た。彼女の目は優しかった。
「本当だよ。思春期で反抗ばかりして憎たらしいけど、いらないなんて思っていない。春乃は私の大切な娘だよ!」
私はすごく嬉しかった。自分を大切に思ってくれている事を知り、とても幸せだった。今の一言で、これまでされてきた仕打ちは、すべて忘れてもいいと思った。
(もっと早くわかっていたらよかった。そうしたら、こんなふうにならなかったのに…)
母の本当の思いをやっとわかったのに、私の命は風前の灯火。生きていれば母とお茶をしたり、ショッピングに行ったり、楽しい日々を送れるだろうに…そう思うと、悔しくてしょうがなかった。
すると母は、渾身の力を込めてミチカの手をはがそうとした。森田や父がミチカをいつまで止めていられるかわからないから、自ら動かずにいられないのだろう。
だが、はがれない。いくら見かけが細身の女子高生でも、中身は化け物。男二人を押し退けられる力があるのだ。
(助けて!神様。もうワガママは言いません。ちゃんと他人を思いやります!だから、今回だけ助けて下さい!)
私はミチカを呼び込んでしまった己の行いの悪さを、心から悔いた。今なら普通の高校生のように、そこそこのメールのやりとりでガマンし、勉強もして、まじめに生きると誓えた。
ふと森田を見ると、彼は手をふるわせながらワイシャツの中へ手をつっこんだ。お守りを取り出し首からはずせば、母に手渡した。
「春乃さんの手をつかんでいる、この少女の手に当ててみて下さい。もしかしたら、放してくれるかもしれません!」
「わ、わかったわ!」
母は言われたとおり、ミチカの手にくっつけた。すると、ジューッと音を立てて皮膚が溶け出した。
『ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァーッ!』
ミチカは断末魔のような叫び声をあげ、体をブルブル震わせた。相当痛いのだろう。しかし、私の手を放そうとしない。ガッチリとつかんでいる。すごい執念だ。
すると突然自動ドアが開き、警官が二人駆け込んできた。そのうち、若くて背の高い警官が、ミチカを見て指さした。

