「まさかマーくんが好きなのって、旬ちゃんか晃太くんか歩夢っ……!?」

「いや、嘘だから」

「……はぁ!?」


「なんで俺が、幼なじみの男に恋しなくちゃいけないんだよ」



……うわー、からかわれたっ!!

マーくんってば、口元に手をやってメッチャ笑ってるしっ。



「もうっマーくんの馬鹿っ!! 本気かと思ってドキドキしちゃったじゃんっ!!」

「でも、晃太兄とだったら寝てもいいよね。 あの人、絶対優しいもん」

「あー確かに……って、朝から変なこと言わないでくださいっ!!」



くそぅ。

普段クールなくせに、なんで今日はこんな変なことを言ってるんだ。



「……で、結局マーくんの好きな人って誰なの?」

「女」

「いや、そうじゃなくて……」


「じゃあ女子」

「……うん、まったく同じ意味だね。 ていうか、絶対教えてくれる気ないでしょ?」

「ないね」



ハァ……。

なんか、また疲れが溜まってきた……。



「……でもまぁ、言いたくないものを無理矢理聞いたって仕方ないから、これ以上は聞かないことにする」

「うん」

「でも、もしもその子と付き合うようになったら、ちゃんと教えてね?」


「ん、わかってる」

「よし。 じゃあこの話はおしまいっ」



マーくんの好きな人が誰なのかはまったくわからないけれど、その人とマーくんが幸せになってくれるよう密かに祈りながら、学校へと歩みを進めた。