……そういえば、昨日の話の続き……今なら二人きりだし、聞けるかも?



「ねぇねぇ、マーくん」

「ん?」

「マーくんって、好きな人居るんだよね?」


「え?」



きょとんとするマーくんに『昨日図書室で……』と言葉を続けると、マーくんは少し考えたあとに、ニコッと笑顔を見せた。



「居ないよ?」



……え、居ない?

でも昨日、図書室で……。



──『……俺も、逃げてるんだ』



……って言ってたよね。

私と同じって言ってたのに、『居ない』なんて……。



「……ゴメン、ほんとは居るよ」



とても優しい顔のマーくんは、私の頭をポンポンと叩いてから言葉を続けた。



「でもミサには教えない」

「……え、どうして?」

「だって俺が好きなのって、男だから」



……はいっ!?

え、こんな道ばたで衝撃発言!?



ちょ、ちょっと待って。

マーくんは男の人が好きで、昨日図書室で『バランスを崩してしまうのが怖くて、これ以上近づけない』と言っていて、そしてそしてっ、私には教えられないってことはっ……!!