「晃太兄は、高校卒業したら店で働くの?」

「うん。 働きながら勉強して、色々な資格を取ろうと思ってる」

「旬ちゃんは?」



歩夢の言葉を受け、ふと、全員の視線が旬ちゃんに向く。



「俺は、働いて金貯めて、そしていつかは世界を一周する」

「……え、世界?」

「うん。 色々な国に行って、色んなこと勉強したいんだ。
その土地の歴史とか、文化とか、今まで知らなかったことがわかるってのは最高に面白いことだろ?」



旬ちゃんはニコッと笑うけれど、私たちはみんな、言葉が出せずにただただ旬ちゃんを見るだけだった。






「……旬ちゃんって そういうキャラだっけ?」



歩夢のその言葉に私と晃太くんは うんうん頷いて同意し、マーくんまでもが小さく何度も頷いている。



「なんだよ、どういう意味?」

「いや、世界一周っていうのは旬ちゃんっぽいよ? すっごく馬鹿げてて旬ちゃんらしいよ?
……でもさ、『歴史』とか『文化』とか、全っ然らしくないっ。 『色んなこと勉強したい』って言葉がもうっ、絶対あり得ないって!!」



うんうんうんうんっ!! と同意に同意を重ねる私たちに、旬ちゃんは呆れたように息を吐いた。



「お前ら、俺のことをなんだと思ってんだよ?」


「「「「 ただの馬鹿 」」」」

「……」




──4人の言葉がピッタリ重なって妙に盛り上がる中で、怒りの旬ちゃんにゲンコツをもらったのは、言うまでもない。