「「 記念すべき、失恋第1号ー 」」

「……デス」



ピッタリと声を合わせる旬ちゃんと歩夢。

そして、どこか面倒臭そうな顔のマーくん。


……いやいやいや。

『失恋第1号』って……。


ていうかっ。 お母さんが近くに居るのに失恋したこと言わないでよっ。


ちょっとお母さんっ。

『あらー失恋したのー』じゃないからっ。

『若いわねー』って意味わかんないからっ。






「あぁー、うちの店に居た時に3人がコソコソ話してたのはこのことだったのかっ」

「晃太兄、4人で割り勘だからねー?」

「りょうかーい。 なるほどねー、失恋第1号かぁ」



納得したように うんうん頷く晃太くん。

いや、だからね、『失恋第1号』で納得されても困ります……。


……あぁもう、みんな馬鹿っ。

ここに居る男子みんな馬鹿だーっ!!



「ミサっち、イチゴのケーキ好きっしょ?」

「……そりゃあ、好きだけどさ……」

「実はねー、ケーキ屋で買ったホールケーキに更にイチゴを追加したんだっ。
俺らで盛りつけしたんだよ、凄いっしょ? いやー、我ながら最高の出来だねー」


「……あ、そうですか」

「早速食べよっ」



歩夢に手を引っ張られ、リビングへ。


旬ちゃんはケーキの箱をテーブルの上に置いて、その間に歩夢は冷蔵庫から飲み物の用意。

晃太くんとマーくんは慣れた手つきでお皿とフォークを準備している。


お母さんは『若い人たちで、ご自由にー』と笑ったあと自分の部屋へと引っ込んでいった。