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その後、お手伝いを終えたのは19時半。

まだまだ忙しい時間帯だったけど、『アルバイトさんも来たから大丈夫よー』ということで、今日はここまでとなった。

私と同じタイミングで、晃太くんのお仕事も終わりだ。



「あれっ、旬ちゃんたち いつの間に帰ってたの?」

「ついさっきだよ。 『ミサに声かけなくていいの?』って聞いたんだけど、『いい』って言われちゃった」

「……薄情者たちめっ」

「まぁまぁ、そう怒らずに。 俺がちゃんと家まで送ってあげるから」



ポンポン と私の頭を優しく叩く晃太くん。

メチャクチャ子供扱いされてる……と思いながらも、晃太くんとのその距離はなんだかとても心地いいものだった。



「そういえば晃太くん、結局ご飯って食べてないんじゃない?」

「いや、賄い食べたよ。 ミサが母さんと楽しそうに話してる間にね」

「え、全然気付かなかった!!」



なんて話しながら、すっかり暗くなった道を進んでいく。

まぁ、お店から私の家まで5分だから、あっという間に着いちゃうんだけどね。


それでも晃太くんは、いつも私を家まで送ってくれる。

こうやって二人きりの時はもちろん、旬ちゃんたちが居る時も欠かさず、だ。



「晃太くんは、このあと家で勉強?」

「んー、まぁそうなるかなー。 他にやることないし」

「……やることないから勉強って、ちょっと変わってるよねぇ……」


「あはは、そうかもしれないね」



普通は、家に帰ってまで勉強なんかしたくない。って思うよね。

私はそう。 むしろ学校でも勉強なんかしたくない。

だけど晃太くんは、勉強することが『普通』なんだろうなぁ……。