「ミサちゃんはさすが女の子よねぇ。 男の子たちには無い繊細さがあるわぁ」

「あはは……私、料理するのは苦手だけど、昔っから お皿洗いだけは頑張ってたんでっ!!」

「大丈夫、料理は晃太がしてくれるからっ!! ということで、ミサちゃん晃太のお嫁さんにならない?」

「……へっ?」



私が、晃太くんのお嫁さん?

……えぇ!? な、なんで急にそんなことをっ……!!



「わ、私が晃太くんのお嫁さんだなんてそんなっ!! 考えたこともないですよっ!!」

「あら、そうだったかしら? 晃太のこと嫌い?」

「嫌いじゃないですけどっ……」


「じゃあ決まりっ!!」

「もぉっ、勝手に決めないでくださいっ!!」



ニコニコ顔のおばさんは、ホールから戻ってきた晃太くんを呼び止めた。

うわわっ……いったいなんの話をするつもりなんだっ……。



「晃太、高校卒業したらミサちゃんにプロポーズしなさい」

「ん?」

「ミサちゃんが晃太のお嫁さんだったら私もお父さんも嬉しいもの。
ね、だから絶対プロポーズするのよ? ミサちゃんを他の男の子に渡しちゃダメよ?」


「……あのねぇ母さん。 プロポーズも何も、俺とミサはそういう関係じゃないから」

「じゃあそういう関係になればいいじゃないっ」

「あー、はいはいわかったわかった。 これ洗い物よろしくー」



明らかに面倒臭そうな顔の晃太くんは、大量の洗い物を残して さっさと行ってしまった。



「よしっ、今『わかった』って言ったわね? 聞いてたわねミサちゃん? うふふっ、卒業後が楽しみっ!!」



……一人で盛り上がってるおばさんに苦笑気味の笑みを返し、私はまたお皿洗いの仕事へと戻った。