「あの……マーくんって……」




……好きな人 居たの?

と、聞こうと思った時。


マーくんのポケットに入っていた携帯が鳴った。

それはメールの着信で、相手は歩夢らしい。



「晃太兄の用事が済んだから、今からみんな来るって」

「あ、うん……」

「で、晃太兄の家で一緒にご飯食べようって言ってるんだけど、どうする?」


「……ん、わかった」



ニコッと笑うマーくんに私も笑顔を見せ、マーくんに続いてゆっくりと歩き出す。


マーくんの、あの言葉……『俺も逃げてる』ということを詳しく聞きたかったけれど、聞くタイミングを逃してしまった。

少ないとはいえ、テーブルのところに戻れば誰かしら人が居る。


そんなところでは聞けないし、図書室を出たら、きっとすぐに歩夢たちと合流する。

みんなが居るところでは聞けない……もんね。



「ミサ? 行くよ?」

「うんっ」



優しく笑うマーくんに頷いたあと、一緒に図書室を出る。

その後すぐ、私たちは歩夢たちと合流した。


旬ちゃん、晃太くん、歩夢、マーくん、そして私。

いつもの5人で、いつものように歩いていく。



みんなと合流したあとのマーくんは、いつもと同じようにクールで。

歩夢の馬鹿な言葉に心底疲れたような顔をし、旬ちゃんの追い打ちには深いため息をついた。

よきお母さんな晃太くんには笑顔を見せるものの、それ以外はやっぱりクール。


……さっきの話、あとでメールして聞いてみようかな?

そう思いながらも、その場では私もみんなと一緒に笑うだけだった。