「暴力反対っ!!」
「そうだそうだー、はんたーいっ!!」
「……なんで俺まで……」
「お前ら全員黙れっつーの」
騒がしい歩夢と晃太くんにもう一発ずつゲンコツを食らわせ、完全なる巻き添えのマーくんは無条件で解放された。
頭を押さえる歩夢と晃太くん、そして髪を直しながら立ったマーくんに、旬ちゃんは言う。
「ミサは俺の女だぞ? いくらお前らが相手でも絶対に渡さねーからなっ」
「……でも旬ちゃんは『しょうがないから』って言われてたじゃん」
「……歩夢、てめぇこの野郎っ。 妙なことばっかり覚えてやがって」
「ハッハッハッ、俺の記憶力は世界を驚かせるレベル……って、だから暴力反対だってばぁっ」
「知るかボケ!!」
逃げ回る歩夢を、旬ちゃんが無言で追いかける。
そんな様子に晃太くんは笑い、マーくんも呆れながら笑っていた。
そして私も、旬ちゃんたちを見ながら微笑んだ。
「旬ちゃんっ。 私、旬ちゃんのお嫁さんになるからねっ」
その言葉によって、二人の動きがピタッと止まる。
「私、旬ちゃんのお嫁さんになるよ。 旬ちゃんだけを、ずっと想い続けていくよ」
ニコッと笑って、また旬ちゃんに抱きつく。
歩夢は『ラブラブうぜー』と言いながらも笑っていて。
晃太くんは手をパチパチさせながら微笑んで。
マーくんは小さく頷きながら私を見た。
「ミサと旬兄なら絶対 大丈夫」
「うん」
「もうすれ違わないように、しっかりと手を繋いでね」
「……ありがとう、マーくん」
……いっぱい迷惑をかけてきたけれど、私はもう大丈夫。
旬ちゃんと一緒に、この先も生きていく。 だから大丈夫。
「歩夢も、晃太くんも、みんなありがとね」
ニコッと笑いかけると、みんなは私に優しい笑みを返してくれた。



