「あーあーあーまったくもうっ、見せつけてくれちゃって!!」
「ほんっと、呆れるくらいラブラブだねぇ」
「……まぁ、俺たち以外に人は居ないから、別にいいけどね」
アハハッと楽しそうに笑って、旬ちゃんの背中を叩く歩夢。
安心したように私たちを見て、優しく笑う晃太くん。
どこか呆れたような顔ののち、穏やかな顔で笑ったマーくん。
私と旬ちゃんはお互いの顔を見たあと、3人に満面の笑みを返した。
「でもさぁ、『初恋は叶わない』って言うし、実は俺らにもチャンス残ってるんじゃない?」
「うん。 ミサは俺のお嫁さんになるって言ったから、来年には俺のお嫁さんになってるかもしれないね」
「晃太兄、ちょい待ちっ!! 俺も正人も候補だかんね? だってミサっちは俺らにだって『お嫁さんになる』って言ったもん」
「だけど、最初に言われたのは俺だよ?」
「ミサっちのことだから、どうせ『オムライス食べ放題!!』とか思って言ったんだよ」
「あー……有り得るかも……」
「つーことで、本命は2番目に言われた俺っ!!」
楽しそうに笑う歩夢が、私の手を掴む。
そして、まるでどこかの王子様のように私の前に跪(ひざまず)いた。
「ミサっち、俺のお嫁さんになってくれるよね?」
「いやいや、やっぱり1番目に言われた俺でしょうに」
歩夢の隣に、同じように跪く晃太くん。
近くに居たマーくんは呆れ顔で二人を見ていたけれど、歩夢によって無理矢理 座らされ、同じ格好に……。
「さぁ、誰と結婚するか選びやがれっ」
「シルブプレっ」
「……なんだこれ……」
何故か態度のデカい歩夢と、ノリノリな晃太くん。 そして ため息混じりのマーくん。
──それぞれ違う表情を見せる彼らに、ゲンコツを食らわせたのは旬ちゃんだった。



