「……私の初恋の相手は、旬ちゃんだったみたい」
「……あぁ、俺はミサだった」
「兄妹みたいに思うんじゃなくて……もっと、早くに気付けばよかったね」
「だな」
お互いの顔を見ながら、私たちはクスクスと笑い合う。
……うん。
私は、あの時から旬ちゃんが好きだったんだ。
だけど『好き』って言うのが恥ずかしくて、いつも気持ちを隠してた。
隠して、隠して、また隠して……いつからか、私は『初恋』を忘れてしまっていた。
そして旬ちゃんは、『いい兄貴』になろうとするあまりに、忘れてしまったのかもしれない。
でも、ちゃんとわかったんだ。
私たちは あの時のことを忘れていなかった。
忘れたと思っていたけれど、思い出の中に ちゃんと残ってた。
「……私、旬ちゃんのことが好き。 ずっとずっと、大好きだったんだ」
そしてこの先も、ずっとずっと好きで居る。
「俺もミサが好きだ。 ずっとそばに居て、今度こそ ちゃんと守り抜くよ。
兄貴としてじゃなく、俺は俺としてミサのそばに居る」
「……うんっ」
旬ちゃんに手を引かれ、そのまま優しく抱き締められる。
「マジで、好きだ」
その言葉を耳元で聞きながら、私は旬ちゃんの体を強く強く抱き締め返した。



