「……ミサも、その時のことを覚えてるんだね」
私を見るマーくんが、微笑みながら私の頭を撫でた。
「旬兄とミサの『初恋』は、そこにあるんじゃないかな」
……これが、私たちの初恋……?
「今までは意識せずに過ごしてきたかもしれないけれど、それを覚えてるってことは、大事なことだから覚えてるんだよ。
旬兄がミサを好きになった きっかけ であり、ミサが旬兄を好きになった きっかけ なんじゃないかな」
私の頭を優しく撫でていたマーくんが、そっと手を離す。
マーくんの隣に立つ歩夢と晃太くんも、私たちを見て優しく笑っていた。
「初恋、ちゃんとあるじゃん」
「同じ時に、二人はお互いに恋をしてたんだよ」
「そ。 旬ちゃんもミサっちも鈍感だから気付かなかっただけで、ずっと昔からお互いのことが好きだった。
きっと幼なじみ以上に好きだったんだよ」
……そっか。
私の『初恋』は、ここにあったんだ。



