どうやら私が来たのとほとんど同じタイミングで、本を読み終えたらしい。
それを元の場所に戻すために歩き出したから、私もなんとなく一緒に歩き出す。
「相変わらず、人 少ないね」
「うん。 今の人たちは、あまり本を読まないから」
「今の人たちって……なんか言い方がジジ臭いよ?」
「そう? じゃあ、今時の若者は……とか?」
「いやいや、意味同じだしっ。 ていうか さっきよりもジジ臭いよっ」
教室でのマーくんはクールで口数の少ない人だけど、私と二人の時は色々と話してくれる。
そして、どこかズレてる部分もある。
「マーくんって、クールなのか面白いのか わからない人だよね」
「……面白くはないと思うけど?」
「面白いよ。 言ってること変だもん」
「……そうかなぁ」
「そうだよー」
そう話しながら奥の方へと進んでいき、マーくんは慣れた手つきで本を棚の元の位置に戻した。
「変っていうのは、歩夢みたいな人のことじゃない?」
「歩夢はかなり変だけど、マーくんもちょっと変だよ?」
「……ちなみに、旬兄や晃太兄は?」
「旬ちゃんは結構 変。 晃太くんは微妙に変っ」
「……基準が、いまいちわからないんだけど……」
ハァ……と ため息をついたマーくんは、別の棚から本を取り、パラパラと捲り始めた。
「まぁそれはひとまず置いておくとして……ミサ、もしかして何かあった?」
「へっ?」
「いつもとちょっと違う感じがする」



