幼なじみはイケメン4人組



旬ちゃんは、どこか不安そうな顔で私を見た。

……ずっと、ずっと昔から、旬ちゃんは『いい兄貴』になろうとしてたんだ。


私は、旬ちゃんのことを『嫌い』だなんて思ったことはない。

他のみんなと同じように好きだった。 大好きだった。

……だけど旬ちゃんに対しては、いつだって『しょうがないなぁ』って言っていた。

言っていた記憶はないけれど、実際に言っていたんだと思う。


旬ちゃんが『いい兄貴』になろうとしてたのは、私の言葉のせい。

だからこそ旬ちゃんは『いい兄貴』として そばに居たんだ。



「……旬ちゃんは、本当に馬鹿だよ」



ポツリと言った私を、旬ちゃんが真っ直ぐに見つめる。

その顔を見つめ返しながら、私はゆっくりと言葉を繋げていった。



「私、小さい頃からずっと旬ちゃんのことが好きだったよ。 旬ちゃんと一緒に遊ぶのが大好きだった。
……私の口癖は、確かに『しょうがないなぁ』だったかもしれない。 でもそれは旬ちゃんが1番近くに居た人だから言ってたんだと思う。
誰よりも近くに居て、誰よりも好きだった。 だからこそ私は、旬ちゃんに“だけ”そんな風に言えたんだと思う」



……それは多分、照れ隠しのようなもので。

自分の気持ちを言葉に出して言うのが恥ずかしかったからこそ、『しょうがない』なんて言ったんだと思う。



「……私の初恋の相手は、旬ちゃんだったのかもしれない」



旬ちゃんが大好きだったからこそ、面と向かって『お嫁さんになる』とは言えなかったのかもしれない。