「……ミサはさ、昔から俺に対しては冷たかったよな」
「え……そんなことないよ……?」
「ううん。 晃太にはニコニコ笑うし、歩夢や正人とも楽しそうにしてたけど、俺にはいつも呆れたような顔してた。
ガキの頃のミサは、俺に対しては『しょうがないなぁ』が口癖だったように思う」
……そうだっけ?
全然 記憶にないけど……そう言われると そうだったような気もする……。
「俺な、『しょうがないなぁ』って言われるたびに実はスゲー ヘコんでた」
「え?」
「だってさ、イヤイヤな感じがするじゃん。 『しょうがないからお菓子を分けてあげる』とか『しょうがないから一緒にトイレに行ってあげる』とか、そんな感じ」
私の手から写真を抜き取り、内ポケットにしまった旬ちゃんは苦笑気味に笑った。
「『お嫁さん』の話もそう。 ミサは俺のお嫁さんにはなりたくないんだ。って子供ながらに感じたんだよ」



