舞台袖に続くドアの前には男子生徒が警備として立っていたけれど、実行委員会の旬ちゃんは当然のように顔パス。

一緒に居た私も普通に入ることが出来た。

……それでいいのか警備さん。


そんなことを思いながら中に入ると、すぐ近くに立っていた女の子が私たちを見て微笑んだ。

髪はふわふわのセミロングで、淡いブルーのドレスを身にまとって立っているその子は、まるで どこかのお嬢様のよう。



「ミサっち、旬ちゃんとラブラブ大成功?」

「……って、歩夢っ!?」

「ハーイ、俺ですよー」



メチャクチャ可愛い女の子。

……と思ったら、歩夢だった。


ニコッと笑ったその顔は、その辺の女の子よりも断然可愛い……と思う。

うわぁ……なんだろう、この敗北感……。

ドレス似合いまくり。立ち姿も妙に女っぽいし、笑顔も可愛い。

これを見たら、絶対みんなドキドキしちゃうよね……。



「俺 似合うっしょー? さっきトイレ行ったらナンパされちゃったー」

「……なんか、ムカつく……」

「ふふふっ、俺に抱かれたい? いや、俺を抱きたい?」


「……なんで そうなるんだ」



ほんとにもう……見た目はメチャクチャ可愛い女の子なのに、やっぱり歩夢は歩夢だ。