……なんか、かなりイヤなんですけど……。
ていうか平気でそういうことが出来ちゃうって、軽蔑ものだと思う……。
「サンドイッチは、アレだ。 手が塞がってたから仕方なくだよ。 くっつかなきゃ食べられないしボロボロ落としたら困るだろ」
「……でも楽しそうで幸せそうだったじゃん?」
「そりゃあ楽しいだろ。 だって俺らが作った学園祭をみんなが楽しんでくれてるんだぜ? 最高に盛り上がってんのを見たら嬉しいし楽しいだろーが」
「……そうじゃなくてさ、高橋さんと楽しそうにしてたじゃん。ってことなんだけど」
「あのなぁ、美玲は同じ実行委員だぞ? 一緒に作ってきたんだから、一緒に笑い合うのは当然だろ」
……何それ。
旬ちゃんは、学園祭が盛り上がってるから嬉しかったってこと?
だから楽しそうに笑ってたの?
高橋さんは同じ実行委員だから、嬉しさを共有して笑ってただけ?
「……あのさ、高橋さんは旬ちゃんのことが好きだと思うよ?」
抱き締められた状態のまま、小さく小さく旬ちゃんに言う。
それに対し、旬ちゃんは『なんでだよ』と笑った。
……いや、『なんでだよ』って……どう見ても旬ちゃんラブな感じだったじゃないですか。
「マサくんが『旬にベタ惚れ』って教えてくれたし……それに、舞台袖に居る二人を見た時も、そんな感じだったもん」
「……マサくんって、政宗?」
「うん」
「……へぇ。 ミサと正宗って、いつの間にか 親しくなってたんだ?」
「私とマサくんの話なんてどうでもいいから」
……なんて言ったら、マサくんはいじけてしまうかもしれないけど……でも、今は本当に『どうでもいい』。
「……私、楽しそうに笑う二人を見た時、恋人同士みたいに思ったんだ。 お似合いだって思ったんだよ」



