幼なじみはイケメン4人組



「……なんで、声かけなかったんだ?」



……『なんで』?

ここでもまた、それを言うの……?



「……言わなくてもわかるでしょ」

「わからないから聞いてんだよ」

「……旬ちゃんは高橋さんのことが好きなんだよね? だからあんな風に笑って、楽しそうにしていたんだよね?
……それを見せつけといてさ、『わからない』なんて可笑しいじゃん。 わかってるくせに私に聞くなんてどうかしてるよ。
こっちこそ『なんで』って言いたいよっ……!!」



……また、私たちの雰囲気は最悪だ。

周りに人が居ないからさっきよりもマシだと言えるけれど、それでも、状況はさっきよりもヒドい。



「……旬ちゃんは なんでここに居るの? どうして私の隣に居るの?
せっかくの学園祭なのに、なんでこんなところに居るの?
好きな人と一緒に回ればいいじゃない。 なのに、どうして私なんかに構うの?」

「……ミサ」

「私は大丈夫だって言ったでしょ。 大丈夫なんだから もう放っといてよ。
私のそばに居ないで。 もう来ないでよ。 私は旬ちゃんのことが嫌いなの。 大嫌いなの」


「……」

「これ以上一緒に居たくない。 だからどこかに消えて。 もう、私のところに来ないで……」



ボロボロ、ボロボロと涙がこぼれ落ちる。


……大嫌い。

本当は大好きなのに、大嫌いと言ってしまった。

本当は近くに居たいくせに、『そばに居ないで』と、『もう来ないで』と言ってしまった。



大好きなのに、本当のことが言えなかった。