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2年生の教室に行くには遠回りとなってしまったけれど、私とマサくんは予定通り教室に来ていた。

もう誰の姿もなく、廊下以外は全部真っ暗だ。


ロッカーからカバンを取り出したあと、小さく息を吐いてから歩き出す。



「ミサちゃん ごめんね。 俺、余計なことしちゃったかな?」

「……ううん、あの場所を離れたかったから、凄く助かったよ」

「そうじゃなくてさ、『俺がミサちゃんのそばに居るから』って言葉……迷惑だったかなと思って」



……あの時のあの言葉によって、場は静寂に包まれた。

みんながどういう顔をしていたかはわからないけれど、でも私は、迷惑なんかじゃなかったよ。



「……なんかね、凄く嬉しかったんだ。 そりゃあ、ビックリはしたけどね。
でも『やっぱりマサくんはいい人だなぁ』って思ったし、こういう時にそばに居てもらえるのって、凄く嬉しいよ」

「そっか」



ニコッと笑うマサくんに、私も笑顔を返す。

……幼なじみ以外の男の子とこんな風に笑い合うなんて、今まで1度もなかった。

今日会ったばかりのマサくんとこんな風に笑い合えるなんて、想像もしていなかった。



「……マサくん、隣に居てくれてありがとね」

「なんなら一生隣に居る? 俺が守ってあげるよ?」

「マサくんは委員長さんが好きなんでしょ?」


「うん。 でもミサちゃんのことも好きだから、俺が委員長にフラれた時は俺と付き合お?」

「絶対付き合わないよ。 ていうかその言い方ちょっとヒドいよね」

「あはは、ごめん」



そんなことを言いながら昇降口へと向かい、靴を履き替えてから学校を出た。