「歩夢っ、マーくんっ」
「ヤッホー」
ニコニコしながら手を振る歩夢と、優しく笑いかけるマーくん。
体育館裏で別れて以来の再会だ。
「ミサっち、電気……は、さすがに つけない方がいいかなぁ?」
「あー……見つかったらヤバいもんね……」
「だよねぇ……」
真っ暗というほどではないけれど、教室の中はかなり暗い。
電気をつければいいだけなんだけど……ここは普段使われていない空き教室。
そんなところの電気がついたら、あっという間に先生に見つかって叱られると思う。
「ミサ、ほとんど みんな帰ったから、外に出ても大丈夫だと思うよ」
マーくんの言葉に、私とマサくんは視線を合わせて頷き合う。
その後、私たちは空き教室を出て、廊下をゆっくりと歩き出した。
「ミサちゃん、こっちが歩夢で、そっちがマーくん?」
「うん、馬鹿歩夢とクールなマーくん」
「へぇ……ほんっと、幼なじみ4人とも バラバラな感じなんだな。
晃太は世話好きで、旬は天然馬鹿で、歩夢は馬鹿でマーくんはクール……あ、旬と歩夢は同じ部類か」
「歩夢と旬ちゃんを足して割った感じがマサくんだね」
「おぉそうか、俺は二人を足して割った……って、なんでそうなるんだよっ」
けらけらと笑う私とマサくん。
それを見た歩夢が、どこか安心したような顔をした。
「ミサっち、すっかり先輩と仲良しだね」
「うん。 マサくんは変な人だから、一緒に居ると自然と元気になっちゃった」
「そっか。 ねぇ政宗さん、俺もタメ口でオッケー? ていうかもうタメ口にしちゃうけどっ」
そんな風に言いながら笑う歩夢に、マサくんは『大歓迎っ』と笑顔を見せた。
見た目が似てる……というか同じように馬鹿だからか、歩夢とマサくんはすぐに仲良くなった。
そんな二人をどこか呆れた顔で見ていたマーくんに、マサくんが『マーくんもタメ口なっ』と声をかける。
それに対し、マーくんは相変わらずの顔だったけれど、小さく小さく頷くのが見えた。



