うわ、死ぬ。

と、本気で思った。


だってボールがこっちに向かってくるのが、スローモーションで見えたんだもん。

ほら、事故に遭った人は周りの動きがスローモーションに見えるって言うでしょ?

それとまったく同じ。


……私このまま死ぬんだ。

バレーボールが顔面に ぶつかり、女子高校生が死亡。とか記事になっちゃうんだ。


と、本気で思った。


……そんな私のことを救ってくれたのが、藤沢くん。


彼は私のすぐそばで休んでいたらしく、歩夢の声に反応した直後に私の手を掴んで引っ張った。


ガンッ!! と大きな音とともにボールが壁にぶつかる。

そして、私のすぐ目の前には藤沢くんの顔……。



──『大丈夫? 怪我ない?』



……彼のその言葉に、なんて返したかは よく覚えていない。

でも私は、その瞬間の笑顔に惚れてしまったんだ。