「うわぁ………」
屋上の扉を開けると、
そこに広がるのは桜満開の景色。
風も吹いていて、桜の花びらが舞う。
あの時と同じだ。
わたしが入学式早々にフラレて、
伊吹くんと出逢ったあの日と同じ景色だ………
わたしはなんだかほっこりしてしまって
顔がほころぶ。
これから伊吹くんが来てくれるか。
来てくれないか……
真剣なわたしの恋を左右する大事なときに、
微笑んでしまうわたし。
でも、
これくらいの気持ちでいいのかもしれない。
このくらいのふわふわした気持ちで居ないと、
どんな結果も対応できなくなっちゃう。
わたしは屋上にあるフェンスにもたれ座り
15時30分を待った。



