「わたしは今の伊吹くんは嫌いだよ」
一途に夢中になって
先輩を窓から毎日毎日、飽きもせず
見つめていた伊吹くんを好きになったの。
だからその恋に終止符を打たずに
別の恋に走る伊吹くんは
わたしの好きな伊吹くんじゃない。
「桜子…って呼んでいい?」
……
「……ねぇ、話し聞いてる?
わたしは今の伊吹くんの事嫌いだって言ったんだよ?」
「……ん。聞いてる。なんでもいいんだよ。」
伊吹くんはそう投げやりに言う。
「………ごめんね。伊吹くんのキモチに、」
応えたい。
凄く好きだもん。
応えたいけど。
「…………今は…応えられない。」



