〈哲也side〉

葵を見て、ふと付き合いはじめる前のことを

思い出していた。

あれは確か…中学の入学式の次の日のことだ。


入学式で新入生代表の挨拶をした俺は

すぐに皆の目にとまり

朝からキャーキャー騒がれるはめに。

めんどくさいしうるさいと思いながらも

作り笑いをして自分を偽っていた。

教室に入ってもそれはやまない。

早く授業が始まってほしい

次からはもう少し遅くこよう。

そう思っていたら

ガラガラガラ。

「はーい。席つけー。出欠とるぞ。」

やっと来た。