雲の上に一種の天界があった。
そこに暮らしている二人の天使がいた

一人は他人に無関心な天使。
名前は分からない、生まれてから一度も両親に名前を呼ばれたことがないからである

もう一人は他人優先の天使。
名前はツバサ。

二人は正反対な性格ですが親友



「今日も普段と変わらないね」
「普段と変わらない方がいいよ。こうやってソラと話していられるんだから」

二人は公園のベンチに座り話している
上記に述べたように他人に無関心な天使には名前が分からない
それだと呼ぶとき不便だとツバサが考えた愛称『ソラ』と呼んでいる。

「こうやって話すようになってどれくらい経つかな」
ツバサは空を仰ぎながらつぶやくように言う

「五年と少し」
ツバサと同じように空を仰ぎながら淡々と言う

「それぐらいだよな」
相手の答えに笑いながら頷く

「でも、短い方だと思う」
ツバサを少し見て言う

「なんだかんだで五年程経ってるのに?」
ツバサは不思議そうに訊く

「それでも、人生のほんの少しなのにかわりはない」
「まあな。でも多寡が五年されど五年だろ?」
いたずらが成功した子供のように笑い問う

「その減らず口何とかならないわけ?」
「これは、性分だから無理だな」

「あっそ」
それ以上は何も言わない。
言い返したところでツバサには勝てないのはわかりきっているからだ。
人当たりもよく、話術に優れているツバサに勝てるわけがない

「・・・・・・」
「・・・・・・」

二人の間に静寂が訪れる
だが、決して居心地が悪い空間ではない
逆に心地いい空間である