ここまでは、多分俺のほうがハルちゃんにとって大きな存在になってたと思う。

俺にとっても…幸せだったんだ。


でも焦ってたのかもしれない。


だって…


見ちゃったんだ…。


アパートの前に佇む純さんの彼女を…。



しきりに携帯を気にしながら…純さんの帰りを待つ彼女を…。


きっと会う約束なんてしてないんだ…。


そう…


別れ間近って感じで…とても切なそうで…切羽詰まった顔をしていたんだ。



俺に気付いた彼女は、


『市川…見なかった?』


少し震える声で尋ねてきたことがあった。



…“市川”って…


彼女って普通下の名前で呼びあうんじゃねぇの?




やっぱり…


彼女じゃないのか?

って疑ってしまうよ…。



でも、彼女は純さんが好きなのは確かだ。