俺は隣にいるよ…。
だからそんな辛そうにもう目の前にいない純さんを見つめないでくれよ…。
アパートを見つめたまま動かないハルちゃんに、
『行こうか…』
俺の存在に気付かせるために声をかけた。
ハッと我に返るハルちゃん。
悲しげに微笑みながら、やっと俺を見てくれた。
部屋に入ると、気まずいのか…
“一心不乱”
その言葉がピッタリくるくらいに料理に没頭しているようだった。
俺の後ろからの視線には全く気付いていたいみたいだ。
気付いてくれよ…。
もっと俺を意識してくれ!
後ろから抱きつきたい衝動にかられる…。
でも…グッと堪えた。
料理が終わったら…純さんが現れる前のような笑顔を見せてくれるかもしれないから…。


