『そうなんだ…。まぁ…結構旨かったしな…。』
『えっ?食ったことあんですか?』
もしかして…ハルちゃんが?
俺の心臓は跳ね上がる…。
『前に店長が味見って言ってくれたんだ。』
ホッ…
なんだか…全身の力が抜けそうになったのを必死で堪えた…。
それなのに…
『………ハルちゃんは…誰かにあげたのかなぁ…。』
安堵していた俺の耳に…
純さんの何気無いような…
でも…物凄く俺の答えを待っている声が響いた。
『…さぁ…どうなんでしょうね…。』
ヤベっ…
声が上ずってる…。
『…孝太、貰わなかったのか?』
いきなり確信をつく純さん…。
『…ハハハ…。』
ひきつった笑いしか出てこなかった。
だって…言いたくなかったんだ。
ハルちゃんがバレンタインを忘れてたことを…。


