その日は、どんよりと曇った日だった。
美優は風邪で学校を休んだ。
早く治るといいけどな…。
僕は昼休み、隣の席を見ながらそう思った。
「ウサミちゃん休みやんか!大丈夫だとええなぁ。」
ニノが売店のホットドックを食べながら話しかけて来た。
「そーだな。」
僕はパックの牛乳を飲みながらそう答える。
「大和、ぶっちゃけ、美優ちゃんとつきおうとるやろ!」
ぶふぅ!
僕は思わず牛乳を吐き出した。
「うぇっほ、げほっ、ぐぇっ、うげっ、
っ、なん、でっ、」
咳き込みながらそう言うと、
「大和気付いてへんの?ウサミちゃんを見るとき、ものすごい優しい目しとるんよ。めっちゃ大事なものを見るような、そんな感じの目で。」
ニノにここまで見透かされていたとは思わなかった。
僕は、否定も肯定もできずにいると、
「ま、これはお前の親友のオレやからこそ気づいたことや。安心せぇ、誰にも言わんよ。」
ニノは僕の目をまっすぐ見てそう言った。
「…おう、隠しててごめん。ありがとう…。」
少し泣きそうになった。
いかんいかん。
ニノはニカッと笑うと、別の話を始めた。
何もなかったかのように話し始めてくれたから、何も気にせずに話せた。

ニノが親友でよかった…。
僕は心からそう思った。

少し、ニノの横顔が悲しい、切ない顔に見えた。