その日の夜もまた僕は出かけた。
ふらふらと歩き、またあの公園へたどり着いた。今日こそはいるかな。などという淡い期待を抱いて。

キィ…。キィ…。

ブランコの音が聞こえた。
美雨?美雨なのか?
僕は走って公園に向かった。
美雨!!

月明かりに照らされたその先には
真夜中のような黒髪
月のような白い肌
長い睫毛の
…美優がいた。
限りなく美雨に近いが、美雨じゃない。
美優は僕に気付くと手を振ってこっちに駆け寄ってきた。
話を聞くと美優の家はお父さんとお母さんが不仲で、離婚してこの町に来たらしい。美優はお父さんと来たらしいが、夜になるとお父さんの機嫌が悪くなり、暴言を吐いたり、ひどい時は暴力をふるったりするらしい。だから夜になると、公園へ避難してくる、と美優は言った。
僕は何も言えなくて、ただ、美優のそばにいた。