僕と美雨は、幼なじみだった。
小さい頃から病弱だった美雨は、外に遊びに行けない、とよく泣いていた。
その度に僕は内緒で夜、外へ連れ出していた。
何度も、何度も。
ある日の夜だった。
その日もまた、外へ美雨を連れ出し、夜、公園で2人で遊んでいた。
「美雨、美雨!次は鬼ごっこをしよう…。美雨?美雨!?」
美雨は、倒れた。
僕は、美雨の両親にひどく怒られた。
そして、美雨と会うことを禁止された。
でも僕は懲りずに公園に足を運んだ。
君は、いなかった。
それから、僕は会いに行くことをやめた。

あの日まで。



その日僕は、変な時間に目が覚めた。
コップに入れた水を飲み干し、灰色のパーカーを羽織り、スニーカーを履いて外に出た。
僕は行くあてもなく、ふらふらと歩いていた。
そして、あの公園へたどり着いた。
懐かしいなぁ…。そう思って、なんとなくブランコに乗り、ゆらゆら月を見ていた。

「大和?」

懐かしい声がした。
僕の大好きだった声がした。
君が、僕を見つけてくれた。
その日からまた僕らは、夜に会うようになった。
月を見たり、少しのおしゃべりをして楽しんだ。
美雨はあの倒れた日以来、設備の整ってる病院に移動したらしい。
そして、大分体調がよくなったので、この町にまた戻ってきたらしい。
僕らはまた、あの日の続きのように遊んだ。
こんな日がずっとずっと続けばいいと思っていた。