コップに水を入れる。
透明なガラスに透明な雫が落ちる。
僕はそれを飲み干して、灰色のパーカーを羽織って外へ行く。
君に会うために。

「大和。」
君が僕の名前を呼ぶ。
夜のような綺麗な黒髪。
月のような白く綺麗な肌。

「美雨。」
僕は君を呼ぶと、君は僕の元へ来てくれる。
愛おしくて、思わずぎゅっと抱きしめると、君も僕のパーカーを掴んで、抱きしめてくれる。

今日も、ブランコに乗って、2人で空を眺める。
時々僕は、ちらっと君を見る。
白い肌、長い睫毛、形のいい唇。
そして、つやつやの黒髪。
それが月明かりに照らされて、どんなものよりも美しかった。
僕が見ているのに気付くと君は、ニコッと笑いかけてくれる。
それが可愛くて、可愛くて、僕は思わずブランコを降りて君にキスをする。
君は一瞬驚いた表情を見せて、恥ずかしそうに笑った。そして、僕の頬にまたキスをしてくれた。
可愛い、大好きな美雨。
ずっと、ずっと、こうしていられたらいいのに。
朝なんて、来なければいいのに。

美雨は、公園に来なくなった。
何度も、何度も、公園に足を運んだ。
何度も、何度も、探した。
でも、君はいなかった。
どうして?
また、僕の名前を呼んでよ。
また、笑いかけてよ。
また、抱きしめてよ。
また、キスをしてよ。

また、君に会いたいよ…。