もう、時間がない。

医者に言われた、3ヶ月目にもう入っていた。

でも、もう迷わへん。お前が望んだことぜんぶやりきれた。

桜『ね...ぇ。雄...吾』

別れは突然だ。

 「桜!?辛いんか?」

夢「ママぁ!!」

桜は、ゆっくり言った。

桜『雄..吾、私と...結婚してくれて......ありがとう。夢.....生まれてきてくれて...ありがとう』

 「桜ぁぁぁぁああああ!!」

桜『ずっと...手ぇ握ってて?....雄吾....』

 「ずっと握っとるよ!!桜!!」

桜『雄...吾.....』

 「ん?」

俺は、もう焦点の合わない桜の唇に耳を寄せた。

桜『愛してくれてありがとう。......私のこと忘れないで.....幸せになってね』

 「さ.....桜?」

桜『愛してる....また....ね』

ピーーーーーーー・・・

桜の手の力が抜けた。

・・・・・御葬式

桜の御葬式。まだ、夢には母親が亡くなったということがよくわからないだろう。

桜の、ママのことを探してるような目をしていた。

だが、それは俺のことなのかもしれへん。

心の底で、どこかにウソだよって笑って手を振る桜がいるって。

桜は、生きてるって信じている俺がおる。

もう二度と桜は、戻ってこうへん。

もう....二度と桜は、笑ってくれへんことを、

                    信じたくなかった

遺骨になる前の最後の顔見せ。優しく微笑んでいる桜の遺体。

もう、この姿に会えないと思うと急に我慢してきた涙が溢れ出して止まらなくなった。

「く.......桜........」

そしたら、みんなが慰めてくれた。

そんなんいらへん。

なんもいらへんから、桜を返してくれ。

このまま、棺桶に一緒に入って燃やされてもいい。桜のそばにいたい。

神様?俺じゃあかんのですか?

せめて、桜じゃなくて俺を連れて行ってください。

お願いやから。