「…部長、わたし別に、笹原主任のことはなんとも…」
「ごまかさなくてもいい」
(もう!なんでそうなるのーーー!)
小林部長は立ち上がり、扉に向かってスタスタと歩いて行く。スリッパを履いて振り返り、思い切り不機嫌な表情のまま、あゆみに言った。
「これだけは覚えとけ。おまえは俺の所有物だ。これだけは、絶対に譲れない」
(…しょ…所有物…?!!なにそれ!意味不明!)
「不満そうな顔だな。豆柴は部長補佐だ。俺の補佐なんだ。他の奴には渡さないからな」
小林部長はそれだけ言うと、ぷい、とあゆみに背を向けて扉を開け、部屋を出て行ってしまった。
あゆみはしばらく、ぽかんと口を開けたまま、その場に立ち尽くしていた。



