「あたしは最初、あゆみちゃんが入社してきたときにね、小林部長があゆみちゃんを個人的に気に入ったから補佐にしたんだと思ったの。ただ単純に、可愛いから、タイプだからだと思ってた。だっていかにもおっとりしてそうだし、すぐにテンパっちゃうし、まぁ早いこと言えば、仕事できなさそうだし」
宮間さんは、あゆみを見下ろしてふふっと笑った。
「宮間さん、…ちょっとひどくないですか?」
たしかにすぐにテンパるし、経験もないし、何もないところで転ぶし、仕事も全然できないけど、とあゆみはブツブツとぼやいた。自分で言っていても情けない。エリカ様とは立っている土俵が違うことを思い知って悲しくなった。
「でもね、あゆみちゃんは、あたしが思ってた子とは、ちょっと違ったの」
「えっ…?」
「頑張り屋だし、一生懸命だし、裏表がなくて何でも顔に出ちゃうでしょ。わからないことを知ったかぶりせずに、すぐに質問して自分のものにしていくの。あゆみちゃんのそういう性格を、あの頑固オヤジたちは見抜いたんだと思う。だから、あゆみちゃんの言う事は聞いてくれるのよ、きっと。小林部長も、なんとなくそれに気付いてたんじゃないかな」
「宮間さん…」



