大浴場を出て、ふたりは並んでフルーツ牛乳を飲みながら、のんびりとお土産コーナーへ向かっていた。


社員旅行というだけあって、宮間さんもあゆみもとくにお土産を買うべき相手はいないのだけれど、それでもなぜかチェックしておきたくなるから不思議だねーと話しながら館内を歩く。




「あ、マツ」




「お、サヤ」




あゆみたちと同じく浴衣姿のマツさんと磐田さん、若手の職人さんの団体と鉢合わせた。
マツさんは「よっ」と宮間さんに声を掛ける。温泉で少し酔いが冷めたらしい男性陣は、「やっぱり女の子の浴衣姿はいいねえ」なんて言いながら上機嫌だ。


すれ違いざまに、マツさんが宮間さんに手を振った。なんだかいいなとあゆみは思った。


ロビーに繋がる通路に、お土産屋さんが見えてくる。温泉饅頭や手ぬぐい、茶碗やお箸、湯飲み茶碗や風鈴、おなじみのご当地キャラのキーホルダーまでなんでも揃っているようで、店内には浴衣姿のお客さんの姿がちらほら見える。




(あれっ…あれってもしかして…)



店内に、見覚えのあるシルエットを見つけると、あゆみはハッと無意識に口元を抑えた。