「だけど…?」




「だけどね、素直じゃないから、あたし」




「宮間さん…」




「あいつとはさ、高校生のときから一緒に働いてるから。まだ周さんだってもうちょっと若くて、小林部長のお父さんも生きてた頃よ?だからあたし、マツのことは家族みたいに思ってるの。あたしもマツも、この会社が好きだし、大切に思ってる。どっちかが辞めるなんて、考えられないしね。だから、簡単にそういう関係にはなりたくないんだよね」




あゆみは恥ずかしかった。

簡単に、付き合っちゃえばいいのになんて思っていた自分が。

大好きな宮間さんに、大切な秘密を話させてしまったことが。





「変なこと聞いて、ごめんなさい…」




宮間さんは笑った。




「いいよ。あたし、あゆみちゃんのこと、マツと同じくらい好きだからさ」




あゆみはなぜだか泣きそうな気持ちになった。


自分も宮間さんに負けないくらい、小林部長のお父さんと周さんが作った会社を好きになりたいと思った。